Translucent sunset

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夕方の光を内側に宿し自らくぐもった光を発しているような葉をみながら、台所で油を吸いとらせた紙がみるみる透きとおっていくことを思い、その紙をつまむ指のことを思い、指が透きとおったらむしろ骨がうつくしいだろうと思った。そこまで考えたときすっと思考が遠のいていって身体的憂鬱とでもいうべきものがのしかかってきた。のろのろと歩く脚の重みと首筋にあたる髪の束の感覚に切り替わる。思考の速度に比してわたしはあまりに遅く歩いていた。後ろからやってくる自転車がじゃりじゃりとけたたましくベルを鳴らしている。それがわたしに向けられたものではないらしいとわかったのは、自転車がわたしを追い抜いたあともベルが鳴りつづけていたからだ、しかしわたしの耳に届く音が歩調のように遅れているとしたらベルの音はわたしに向けられているのかもしれない、いったいどれくらい遅れているのか、あるいは遅れていないのかわからない。ばらばらに切り刻まれてしまった楽譜をもとどおりにして、なめらかな機械のように歩くのはむずかしい。