2014-04-01から1ヶ月間の記事一覧
花火のように噴き上がる細い針金が余白にちりちりとはみだすのでまえとうしろが反転しそうだと思っていたら、まえとうしろは反転せずにのっぺりと同じ面にはりついてしまってちりちりとした感覚だけがのこった。口をぼんやりあけ、おおきくうでをひろげなが…
撞着語法の隙間にこっそりと快楽を見いだすような体験を繰り返すことでいろんな色を識別できるようになるけれど、それをときどき手放すことで圧倒的にうつくしいもののうつくしさを見失わないでいられるような気もする。10代前半のころ、葉に映る葉の影と透…
存在しないことによってみえてしまうものもあるし、存在しているとしてもみえなくなるものもある。3つならんだ赤いくちびるの安定感をみたときにくちびるは存在することをやめてしまったが、かといって3つならんだ目の不在もたいしたものではなかった。そ…
右脚と左脚の長さが合わなくなってしまったので、ああわたしはいまから転倒するのだと思った。膝が折れてぐらりと揺れて、右に傾ぐ身体を傾ぐままにして力を抜くときに、わたしはうつくしい光に目を貫かれたわたし自身の顔をみていたのだった。その顔をみて…
伸びてしまった前髪が目のまわりにちらつくのを手で横に流してもすぐに戻ってきて、かゆいようないらだたしいような気分で春の陽射しを受けていたこどものころ、ちりちりとしたいらだちを持ったわたしは晴れやかで力強い春の空気のなかで据わりの悪さを感じ…
音に親しんできたせいか、みたものを声として感じていることが頻繁にある。いまの時期、密度をしっかりとたずさえた物が高らかに話しているようにみえる時間帯がある。物自体も影も輪郭が明瞭だ。すこしとがった声なので自分自身の状態によってはさわがしく…