柔らかい枝の影は触覚的なので、視覚的な記憶ではなく感触の記憶を直接よみがえらせてくれる。人の肌を指でたどるときにすべての指がうまく自律して動き出すと、各々の指が捉える感覚それぞれではなく、状況全体の感覚としかいえないものが身体を浮揚させる…
句点のない走り書きのメモばかりを書き散らしていたら、ピントがきっちりと合った写真を撮ることが欺瞞なのではないかという気がしてきた。風の強い日、じっとカメラを構えながら、撮る対象がぶれているのではなくて、自分自身が小刻みにぶれて幾重にも重な…
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