2014-12-01から1ヶ月間の記事一覧

Letters

ふだんあけることのない机の引き出しを整理してみようとあけると、高校時代に友人たちがくれたおびただしい数の手紙が出てきた。封筒に入ったもの、中身がみえないように便箋自体が複雑な折り方で折りたたまれたもの、ただ二つ折りになっているもの、とても…

Anticipation

カーブを描いてホームに入ってくる地下鉄をみながら、予期をすることについてぼんやりと考えていた。一時期、可能性を予期し、いろんなものの何手か先を読み、それに先回りをして升目を周到に塗りつぶすようにして生きていた。塗りつぶせない場合には、あら…

Complete absence of his left hand

Paper and pencil

Ghost

昼下がりの都電に揺られながら窓の外をみやると、鋭く青く冷たい空気の中まっすぐに続く線路の切っ先にただぼんやりと突っ立っているわたしがいた。強すぎる度数のレンズのゆがみの端から光線のように大きく伸び、よく研がれた刃物が切っ先で刺せなかった余…

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Shibuya, on a rainy day

Raindrop (stealing a glance)

うつくしいひとの睫毛のようだと思いながらまなざしの軌道をすばやく盗む。もちろんうつくしいひとなどどこにもいない。形容だけがある氷の上を歩いていることにわたしたちは蓋をする。蓋をして足で踏みつける。頑丈な靴を買い、大きな車を買うのは強い力で…