Bonbon

わたしの
鋭利な
空洞であったはずの
割れたガラス
の側面のように
ざらりとした
飴玉

ばらばらと打ち込まれた
五月の雨のなかに
醜くなめらかに溶けているのを
舌にのせなかったのは
それがなかったから
そのときに
砂糖の
砂の
じゃりじゃりとした音を
こめかみに聞く
食べることなく食べているものを
吐き出すことはできない

わたしは
大きく口をあけ
両手でガラスの破片を詰め込めるだけ詰め込んで
力強く噛みしめ騒々しい音を立て
これがわたしの望みだったのですと宣言しながら
飴玉に寄ってくる蟻の行列を
粛々と踏みつぶしている