As girls go

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耳の欠けたうさぎのキーホルダーに
めっきの剝がれた鈴の音
金具の壊れたリボンのバレッタ
くすんだ金属の腕時計はとまって
むかしむかし鉛筆にかぶせた
プラスチックのキャップの大きなひびに
あなたは幼い少女をみる

指先にぐっと力をいれて鉛筆のキャップをぎりぎりと押して
キャップの上から飛び出てくる鉛筆の先が親指に穴をあけるのを
ただ指先に感じていたかったプラスチックが軋んで割れる音とともに
あなたはあのころもうすでに
自分が女であることを憎み
憎んでいることを悟られまいとするあまりに
低空飛行で地面にうつる自分の影だけをみようと決めたのだった
輪郭を確認しながら
塗りつぶされたものがわたしであると

それはあなたの名前かもしれないが
耳が遠くなってしまって
身代わりのひびを手のひらでくるくるとまわして
やはり知らないふりをして
つややかに光る爪でペンを持ち
一度も鉛筆をにぎったことのないような指で
偽名のサインを書いて